あれから10年・・・

1999年2月1日　確か月曜日だったかな・・・

私はいつものように残業していた。
そこへ、先に帰ったはずの当時の上司から電話が入る。

「おい！大変だ！ジャイアント馬場が死んだらしいぞ！」

え～っ！？と言って、思わず受話器を持ったまま立ち上がった私。
その後は、何も言葉が出なかった。。。

私は、自他共に認める大のプロレスファン。
尊敬する人物は”ジャイアント馬場さん”である事を公言して憚らなかった。

どうやら、当時の上司は帰宅途中のカーラジオから流れるニュースを聞いて
「これはあいつに知らせなければ！」と連絡をくれたようだ。

まだ仕事は残っていたが、もうそれどころではない私は一目散で帰宅し、
片っ端からテレビのニュースをチェックした。
プロレス自体はマイノリティなカテゴリーではあるが、さすがは”世界の巨人”ジャイアント馬場。
どの局のニュースでも、トップ扱いに近いものであった。
馬場さんが亡くなったのは、前日の1月31日だとの事。死因はガン・・・。
前年に風邪で欠場とあったが、まさかガンの検査だったとは・・・。
とにかく、その夜は、ただテレビの前で呆然とするしかなかった私。。。

その後、全日本プロレスを中継していた日本テレビで、複数の追悼番組が放映され、
私は、また片っ端から観まくって・・・ひたすら泣いた・・・。
2月の追悼番組第一弾から5月の全日本東京ドーム大会　馬場さんの”引退試合”まで
計6番組を録画し、私の中で永久保存版とした。

また、その間の4月下旬には、日本武道館にて馬場さんの「お別れの会」が催された。
北海道在住である私。。。
しかし、遠いもへったくれも言ってられない。
すぐに飛行機のチケットを取り、会社に有休を申請。東京へ飛んだ。
馬場さんが大好きだった大福を携えて。。。



それ以来、毎年1月31日は自分の心の中だけで、馬場さんを想い出す事にしていた。
しかし、ごく親しい人を除いて、公に馬場さんの事を語る事はしないようにした。
録り溜めた追悼番組のビデオも全く観なかった。

語るのが怖かった。観るのが怖かった。
とめどなく涙が出るから。。。

だから、私の中で馬場さんを「封印」したのである。




月日は流れ、今年の1月31日。
馬場さんが亡くなられて、ちょうど10年が経つ。

私は「封印」を解く事を決意した。


録画して以来、一切観る事はなかった追悼番組のビデオを初めて観た。

やはり泣けた・・・。

でも、私は辛くても「封印」を解きたかった。






昨日、日本テレビの定例会見にて、プロレスリング・ノア中継の
3月末での放映打ち切りがリリースされた。
力道山時代から数えて55年に渡る、日テレのプロレス中継枠が
地上波から消えることとなったのである。

プロレスは、今よりも更にマイノリティになってしまうのか。。。

マニア以外の人がプロレスに触れる機会がなくなれば、
馬場さんの存在は、皆の記憶から消されてしまうのか・・・。

「封印」を解いて、馬場さんの素晴らしさ・偉大さを改めて
語っていきたい。私は、そう考えることにしたのである。




馬場さん・・・。あなたが育てた愛弟子たちは苦しんでます。

三沢・小橋・秋山・田上etc・・・ノアはテレビ中継がなくなり、これからが正念場です。
京平さん・渕そして「全日本プロレス」・・・外様である武藤の一枚看板から抜け出せません。
川田・・・ハッスルというリングで戦うどころか、歌を歌わされています・・・。

そして、プロレス業界自体は更にピンチです。

馬場さんの死後、雨後の筍の如くプロレス団体は更に増え、収拾がつかない状況となっています。
素人同然の人間が”プロレスラー”を堂々と名乗る始末です。
ノア・新日本・全日本といったメジャー団体でも、地盤沈下は避けられない状況になっています。
世界的な不況が、更に追い討ちをかけ、各団体の興行収入は厳しさを増しているのです。


終生のライバル・アントニオ猪木も、業界の現状を憂い、団体を立ち上げてはみましたが、
大きなムーブメントを起こすまでには至っておりません。



私は、馬場さんの力が必要だと思ってます。
あなたの功績を、今一度世の中に知らしめ、総合格闘技にはないプロレスの素晴らしさを
伝えていければ、またプロレスに光が当たる日が来ると思ってます。

馬場さんが生きていたら、この状況を見て、何を語るのか。。。
馬場さんなら、この状況を打破してくれるのでは・・・そう思えてなりません。





元子さん。

あれから10年経ちました。もう馬場さんを独り占めするのはやめませんか？

馬場さんも、きっとそれを望んでいるはずです。。。



そうですよね？馬場さん。。。

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