Dr.DEATH

90年代の全日本プロレスを観てきた者にとって、懐かしいレスラーの話が聞こえてきた。

”殺人医師”スティーブ・ウィリアムスである。

 

現在は、IWAジャパンを主戦場としている彼は先日、今年10月25日のIWA新宿大会の　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　出場を最後に引退する事を発表した。

2004年に喉頭ガンを患ってからは、全盛期のような活躍は出来なくなり、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あまり彼の名前を聞くことも少なくなっていたのだが、改めて「引退」という話を聞くと　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一抹の寂しさを覚えるなぁ。。。

今回、彼が引退を決意した理由は、三沢の件がきっかけとなったそうである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自身もガンと戦ってきたのだが、かつて凌ぎを削った盟友の死を聞き、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　プロレスを続けていく事に限界を感じたようである。

考えてみれば、日本での彼の活躍に携わった人が、多く亡くなっているんだよなぁ。

”殺人魚雷”コンビとして、彼と共に90年代の全日本マットを震撼させた　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　”人間魚雷”テリー・ゴディは2001年に40歳の若さで亡くなった(心臓病にて）

上記のゴディの後、彼のパートナーとなった”殺人風車”ゲーリー・オブライトも、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2000年に36歳の若さで亡くなった。（糖尿病が遠因と言われている）

そして、馬場さん・ジャンボ・三沢も・・・

 

彼の戦いぶりを改めて思い起こしてみて、私が感じたことは、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とにかく不器用なレスラーだったな、ということだ。

彼の必殺技は、言わずと知れたバックドロップ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「殺人バックドロップ」「バックドロップ・ドライバー」と呼ばれ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　当時の全日本マットでも一・二を争う危険技だったが、彼の身体が硬かった故に、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　綺麗にブリッジを描く事が出来なかったせいで、相手を急角度で落としてしまう、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　というだけのものだった。

また、アマレス出身の割りには受身が下手でもあり、観ていて危なっかしい場面が　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　結構あったことを覚えている。

基本的には、ゴツゴツした試合の展開が多く、三沢や川田といった日本人と対戦すれば、　　　　　　　　　　　　　　　　　　対戦相手が綺麗に試合を作ってくれたのだが、外国人同士となると、時には観ている　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こちら側が笑ってしまいたくなるほど、ひどい試合運びだった。

馬場さんも、何かの試合の時に彼の戦いぶりを見て「何をしたいのか、全くわからん」　　　　　　　　　　　　　　　　と言って、苦笑しながら解説していたもんなぁ・・・。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 

 

そんな不器用なレスラーではあったが、全日随一の一撃必殺の恐ろしさを持つのと、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キャラクター性もあって、90年代の全日本には欠かせない人物の一人だったと言えよう。

そして、外国人ながらも、全日本マットを愛してくれていたウィリアムス。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　全日分裂後、新日本マットに殴りこみをかけた時には、全日代表として新日マットにあがり　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　スコット・ノートンと戦って、見事に勝利を収めるという事もあった。

 

プロレス好きの私にとって、一番思い入れが深い90年代の全日本プロレスを　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　支えてくれた立役者が、また一人消えていくのか。。。

このところの日本のプロレス界は、強さを感じさせてくれてキャラクターのたった　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　外国人レスラーがいなくなってきている。

是非とも、彼のような外国人レスラーが現れて、再び日本のマット界を震撼させるような　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　活躍を見せてくれないものだろうかなぁ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　

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